日本でGTMエンジニアへと進化 / 活躍するには?

日本で目指すには?

GTM / Go-To-Market エンジニアの解説は色々なブログなどで解説があるので割愛します。

月日が立つにつれておそらく定義などは変わると思いますが、
現時点では 営業、マーケティング、必要に応じてカスタマーサクセスまでを横断し、
CRM、データ基盤、API、AI、業務フローを接続しながら
再現可能な収益オペレーションを設計・構築・改善していく人材です。

実務者の整理ではRevOps が既存の収益オペレーションを整え安定運用する役割であるのに対し、
GTMエンジニアリングは新しい仕組みを実装・実験/検証し、
収益システムそのものを作る役割としてのコンテキストが多いよう?です。

日本でも2026年3月時点で概念としては入り始めたのがこのGTMエンジニアです。

AIがあればできるんじゃね?

確かにそうかも知れません。

実際にツールなどの前にここを目指すためにやらなければならないことを
自分の視点で記述していきます。
ザーッと書いていくので絵などはなくて読みにくいかもしれませんが!

良いことを書いたはずなので、
ぜひみなさんの会社全体でも考えてみたりしてみてください。
弊社もね・・

「データを使える会社」になっているか

データ活用、または活用できていなくともデータがしっかりありますか?

最初に問うべきことは、AIを導入しているかでもSFAを入れているかでもありません。

自社に意思決定や改善に使える形でデータが残っているかです。

日本では「全社的なデータ利活用の方針や文化がない」「データ管理システムが整備されていない」
「人材の確保が難しい」といった課題が多くあります。

IPA DX動向2025(データ関連データ抜粋)

資料の中だけの話というわけではなく、
多くの企業がそのような状態にあるはずです(割と相談が来たりします)

日本企業の課題は「DXが遅れている」というよりも、
データを事業成長に接続するための土台が弱いことにあります。

GTMエンジニアが扱うのは、単なるログではありません。

顧客接点、営業活動、失注理由、ナーチャリング履歴、利用開始後のオンボーディング状況、
LTVに関わるポイント、エンゲージメントなど、
収益に関わるデータをつなぎ直し意味のある流れに変えることが必要になります。

そのため、必要なのは データがあること だけではありません。
「誰が入力するのか」「どの粒度で残すのか」
「何を定義として揃えるのか」「どこまで説明責任を持てるのか」まで
明確に設計されている必要があります。

AIはこの土台が整っているうえで初めて企業に大きな力を与えます。
またGTMエンジニアとしてもある程度ここを構築したり、
推進という役割も多少入ってくるでしょう。

新しい役割とも言えますので、ないのでできません!と言っていると
一生できない夢のポジションになるかもしれません。

土台がない状態ではAIは賢いように見えても、
再現性のある収益エンジンをうまく構築するのは不可能に近いでしょう。

GTMエンジニアは ツールを触る人ではなく収益構造を設計する人

GTMエンジニアというと、
HubSpot や Salesforce を触れる人、n8n でワークフローを組める人、
SQL や Python が書ける人といった理解に寄ってしまうかもしれませんが、
しかし本質はそこではありません。

求められているのは単なる実装力ではなく、
ICP(理想的顧客像)やTAMの設計、CRMアーキテクチャの最適化、
マーケティングから営業、CSまでを貫くデータパイプラインの構築、
リードスコアリングやナーチャリングの自動化、ファネル全体のボトルネックの特定、
ROIベースでの予算配分最適化などが要求されるはずです。

フライホイールくらいは自分で作れるというのも当たり前になるでしょう。
でなければ市場参入の戦略を作り、回していくことはそもそも難しいはずです。

GTMエンジニアとは「営業・マーケ・CSの業務を技術で効率化する人」ではなく、
もっと具体的にいうと事業成長の構造を理解し、
運用可能なシステムとして構築・設計する人と言えるかもしれません。

MOpsに関わっているエンジニアやデータエンジニアの方々は、
このあたりの領域に携わっている方も多いのではと思いますが、
日本でそういった仕事をしているエンジニアの比率は非常に少ないのではと思います。

そうなると日本でよく言われるエンジニアリングスキルだけでは当然足らず
ファネルを理解すること、顧客獲得単価や商談化率の構造を理解すること、
セグメンテーションやホットリストの考え方を理解すること、
さらには営業活動がどのように現場で回っているかを把握することが必須になっていきます。

コードが書ける・AIに指示できることは重要ですが、これは多分入口に過ぎません。

現在はAIだけではどうにもできず、AIにやってもらうにしても説明責任と戦略、
当然ビジネスフレームワークやら様々なビジネススキルを持っていることが前提となるはずです。

ドメイン理解なしにこの役割は成立しない

営業とマーケティングをつなぎ合わせると言っても
どのようにつなげて設計・構築し回る仕組みを作っていくか、
それはドメインへの理解が避けられません。

ここでいうドメインとは、DDDの文脈で語られる設計上の話だけではありません。
その会社が誰にどのような価値を、
どのような営業・導入・継続プロセスで届けているのか
、という事業の現実そのものです。

当然説明書のようなものがあるはずもなく、会社それぞれで全く異なります。

例えばレガシーな業界に対して展開しているサービスであれば、
オーバースペックなものを急に入れても回りません。

顧客側のリテラシー、現場の運用負荷、商流、意思決定者と実務担当者の距離、
導入時に必要な説明コストなどを理解しないままでは、
優れたオペレーション設計も現場では機能しません。

だからこそGTMエンジニアには「顧客を知る」ことが必要になります。

営業やCSと会話するだけではなく、
顧客の業務フローや導入障壁を理解し、
場合によっては自ら顧客接点に入りにいくことも必要でしょう。

プロダクトマーケティング、インサイドセールス、
導入支援のどこに摩擦があり、どこがボトルネックなのかを自分の目で見て理解することが重要です。

オンボーディングなどは別としても、後にそことうまく結合する必要があります。
当然利用者と会話したりもあるでしょうしFDE的な動きの延長にあるのではと思います。

これまでに述べたデータ活用などができている状態であれば、
このドメインへの理解についても企業内ではある程度風土はあると思いますが、
果たして日本でここまで繋がって意識している組織や人はどのくらいの比率なのでしょうか・・?
自ら行動して解決するようなタイプのCTO、CPOやCMO経験者などくらい?

この役割は営業経験者が技術を学んだほうが向いている場合もあれば、
自らバリューチェーンを考えて実践するなどを経験したエンジニア、
あるいはエンジニアが事業側に深く入り込んで進化していくほうが向いている場合もあるのではないでしょうか。

ただ、どちらにしても共通して言えるのは ドメインに深く潜れない人には非常に難しい ということです。

AIだけで解決できるか。まだ No では?

AIの導入によってデータの整形、要約、スコアリング、
文面生成、ワークフロー自動化などGTMに関わる多くの作業はAIによって加速できます。

しかしAI導入は全体的にはまだまだ初期段階のようなもので、
価値を出している企業・組織ほど、AI導入そのものよりもワークフローの再設計、
ガバナンスの強化、リスク低減、責任を持つリーダー配置が急務になるはずです(ぼちぼちそうなってませんか?)。
*海外がまさにそうっぽい?

つまり、成果を生むのはAI単体ではなく
AIを組み込めるように業務と組織を作り直すことになります。

GTMエンジニアリング領域でAIを使う以上、
個人情報、商談履歴、推奨ロジック、説明可能性、人によるレビューなどを無視することはできません。
これは多くのエンジニアが経験したものではないはずで、
むしろどうしたら良いのかわからない、が表面化し始めているはずです(弊社も!)。

AIがあればできるでしょ、ではなく
AIを使っても壊れない収益・オペレーションを設計できるかどうかが重要なはずです。

日本でまず自社に投げるべき問い

GTMエンジニアを目指す前、あるいは採用する前に、
まず自社に次の問いに答えてみると良いかもしれません。

顧客接点のデータは、構造化されて残っているか

営業活動、問い合わせ、商談、失注理由、
受注後の立ち上がり状況が後から分析・接続できる状態になっているか。

マーケティング、営業、CSで定義が揃っているか

MQL、SQL、商談化、失注、休眠、活性顧客などの意味が部門ごとにズレていないか。
ここがずれていると何が会社にとって重要なのかがわかりません。

現場の業務を理解する人が設計に入っているか

エンジニアやシステム部門だけで閉じず
顧客理解や営業理解を持つ人が要件定義に入れているか。
もしくは自らそこに立つことができるか。

AIを入れる前に、業務フローを見直しているか

今の非効率をそのままAIに学習させていないか。
まず直すべき業務があるのではないか。

説明責任とガバナンスを持てるか

なぜそのスコアになったのか、なぜその配信になったのか、
なぜその優先順位なのかを説明できるか。 なぜこのように接続して構築したのか。

GTMエンジニアはこうした問いに対して 実装で応える役割になるでしょう。
コーディングじゃないよ!
ツールの設定者でも単なる自動化担当でもありません。
収益につながる構造を理解し、データと業務と技術をつなぎ、再現可能な仕組みとして回す人のハズです。
*将来はここもAIになるかもしれない

おわりに

これからの時代に求められていくのはコードがかけるかどうかではなく、
様々な視点で技術を事業に接続できる人だと思います。

知識や技術を応用して会社や社会の課題解決やモノ・システムを設計・構築・運用する広い活動へと
広い視野を持ちそこに対して行動していくことへ回帰していくのではないでしょうか。

日本でこの役割を実践するには、
まずデータの土台を整え、ドメインに深く入り、
AIをドラえもんのように捉えるのではなく増幅器として扱うこと。
そのうえで技術を事業に接続する責任を持てるかが問われるのだと思います。

頑張っていきましょう。

そもそも企業でここを進めて何を実現するぞ!というビジョンも大事です。
というか片手間でできる職種ではないと思うのは自分だけではないはず・・